2019.03.22

大阪万博開催で、さらに問われる薬剤師の外国人対応

2025年、大阪の地で万博が開催されることが決まりました。大阪では1970年以来、55年ぶりのことで、当時の熱狂振りは今でも語り草になっています。岡本太郎の太陽の塔のモニュメント、世界各国から最新のテクノロジーを紹介するパビリオン、そこは戦後日本に忽然と現れたユートピアと言っても過言ではないでしょう。

2025年の開催期間は5月3日から11月3日、185日とおよそ半年という期間であり、その間に国内外から2800万人の来場を見込んでいます。東京ディズニーランドとディズニーシーあわせての来場者が半年間で1500万人ですから、その数の大きさがわかると思います。
参加国は150カ国を予定しています。世界中の国々の注目が大阪に集まりそうです。
経済効果も莫大で大阪府は2兆3000億円の経済効果を想定しており、波及効果はこの倍以上と考えているようです。大阪の経済に与えるインパクトも大きいことは間違いありません。
国際的なイベントが、オリンピック、万博と続くことで、さまざまな業界で訪日外国人の対策を急いでいます。薬剤師の関係する病院、薬局、ドラッグストアも例外ではありません。
ドラッグストアでは、早くから外国人対策に乗り出しています。中国の決済システム銀聯(ぎんれん)やアリペイに対応したり、フリーWi-Fiの使える店舗の増加など外国人の来客を前提にした店作りが進められています。
かたや調剤薬局では、外国人への対応は大幅に遅れているといえます。保険調剤だから、外国人は来ないと思っている方は少なくないかもしれませんが、それは間違いです。
都市部や観光地近隣にお勤めの薬剤師ならご存知かと思いますが、外国人はアプリの地図などを頼りに薬局にやって来ます。アプリによってはドラッグストアも薬局も同じマークで表示されていて、そこが保険調剤薬局か否かなど区別がつきません。
お店にはないOTCをいろいろと聞かれ、対応に手間取ってしまえば、ほかの患者さんを待たせることになり、そのことでクレームになる可能性もあります。
またアフターピルなど、国によってはドラッグストアで当たり前に買えるものを求めに来る外国人も多くなっています。日本では処方箋が必要であることを理解してもらうことも必要な対応になります。

それでは、今後、調剤薬局の薬剤師がインバウンドの訪日外国人に対してどのような対策をとればよいでしょうか。

まず大事なことは、お店という現場単位で対応を考えることです。
誰か一人、英語が話せる人がいればいいでしょうというのは間違いです。
その人に頼りきりでは、たまたまその人が休んでいたらお手上げです。これでは対策していることにはなりません。外国人来局時のマニュアルを薬局で作り、働く人すべてで共有することが必要です。事務の方もパートも社員もみんなです。誰が初期対応をするのか、対応者への取次ぎはどのように行うのか、または、ある程度の想定問答を用意しておくなど。簡単なマニュアルでも、あれば安心に繋がります。コミュニケーションの現場で動揺や慌てふためくというのは一番避けるべきです。
もちろんマニュアル作成と同時に、薬剤師本人も語学力の向上を目指すことがとても大事なことです。コミュニケーションは人と人を繋げる大事な手段です。この部分だけは、どんなに人工知能が進んでも、調剤ロボットが活躍するようになっても、機械には出来ない領域です。ただ意思を伝えるだけでない、思いやりや親しみなどを伝える術がコミュニケーションなのです。
今まで薬剤師の業務の中で、コミュニケーション能力はそれほど問われてこなかった気がします。しかしこれからは、英語でも日本語でも会話する力、あるいは聞く力が重要な意味を持つでしょう。薬局に来る人は健康な状態ではないのです。どこかに痛み、どこかに悩まされ、不安がつきまとっています。そのような人たちを薬だけでなく、会話や気持ちというもので癒すのも薬剤師の使命ではないかと考えています。
そのためにコミュニケーション能力の研鑽は、薬剤師という仕事を長く続けたいのであれば必須ともいえますし、やりがいがいっそう増えることは間違いないと思います。
英語の勉強は難しいと考えがちですが、実践に基づいたこのサイトを利用すれば、遠回りすることなく現場の生の会話が学習できますので、コツコツやっていただければ幸いです。
外国人対応を避けるのではなく、歓迎して受け入れられれば、薬局にとっても薬剤師にとっても新しい可能性が広がるチャンスです。会話する、コミュニケーションを取るということに正面から考えることで、日本語での会話にも変化が出てくると思います。

コミュニケーション能力こそ、これからの薬剤師に求められている能力なのです。
来るオリンピック、万博をきっかけに、英語を学びましょう!

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