2019.03.22

薬剤師はやりがいのない仕事なのか

薬剤師の仕事はやりがいがない、とツイッターで呟かれたり、ブログで愚痴を吐き出しているものを、多く見ています。本当に予想以上に多い数です。
やりがいがないどころか、なかには薬剤師は不要なのではないかと疑問を持つ薬剤師すらいるほどです。もちろん、薬学を修めた皆様でしたら、薬剤師の仕事がいかに大事で必要であるかは理解しているでしょう。それなのに泉水のごとく沸いてくる、薬剤師の仕事の悩み、やりがいのなさについて、今回は掘り下げてみます。

調剤薬局などの現場で嘆かれているのは、患者に薬学の知識がないがゆえに言われる、心ない言葉の数々に打ちのめされてしまうことです。ジェネリック変更への提案に文句を言ったり、お薬手帳の提示を嫌がったり、飲み合わせの確認をしたいのに話さない、など。禁忌など理解されていない方も多いので、薬剤師がどうしてそんなことを聞くのか全くわかっていないので薬剤師に対してあけすけに酷い態度をとる人が後を立たないこと。
調剤報酬も一般的に理解が進まず、その料金にたいしても、どうしてあそこよりも高いんだ?とクレームになることもしばしば。調剤基本料がお店の立地や規模によって異なるなど、知る良しもないかもしれません。
また、薬によって調剤にかかる時間が異なることも知りません。薬は棚にあるものを取るだけだと考えている人も多いのです。ですから少し時間がかかる場合、その遅さに文句を言う患者も出てきてしまうのです。
疑義照会も同様です。薬剤師の一番大事な仕事と言ってもいい医師への疑義照会もその意義を理解している方はまれです。どうして先生が処方してくれたものにケチをつけるんだと怒鳴られた人もいるほどです。
そのため、薬剤師の仕事が目の前で行われているに関わらず、何か不透明な、よく分からない仕事と患者の目に映ってしまっている場合が多いようです。
このような患者による薬の知識の乏しさ、薬剤師の仕事への無理解から患者にいわれのないクレームや文句を言われ続けてしまうと、心が次第に折れてしまうのです。そこでこの仕事ってやりがいがないなと感じてしまうのです。

もし学校で少しでも薬学の授業があったら、調剤報酬についてわかりやすい報道があったら、今のような状況は生まれていないことでしょう。
かといって外部環境のせいにしすぎるのも虫が良すぎるかもしれません。お店でも副作用や過剰摂取の怖さ、禁忌の存在などを少しでもわかりやすく啓蒙できたら、そのお店に来る患者さんの薬に対する知識は徐々に深まっていくはずです。
調剤報酬の問題もわかりやすく、例えばイラストを入れてポスターのようなものがあれば、料金の差異についての理解が得られると思います。そのようなことはお店でも出来るはずですから、現状を放置しないで、そのようなことから始めてみることも大事なことと感じます。

一般に、「やりがい」というものは、「評価」され「報酬」を受け「将来」を描けることで、見出せるといいます。薬剤師はまずこの評価の部分で、つまずいている気がします。上記の患者の無理解から正当な仕事の評価が得られず、結果、自分職業の存在意義を見失いがちです。その一方で、感謝される場面が必ずあるのも医療の現場です。体調をいたわり、快方に向けてアドバイスする。そのことで「ありがとう」といわれたことは、皆さんにもたくさんあったことと思います。また時間外に対応して感謝されたこともあるでしょう。薬を配達して喜ばれたこともあるでしょう。そのように「ありがとう」がすぐそばにあるのもこの薬剤師の仕事なのです。ですから一部の無理解な患者さんの言動に振り回されることなく、薬剤師の本分である患者にあったお薬を正確にお渡しするということに自信を持ってみることが大事なことではないでしょうか。
自分の仕事に対してのプライド、自信があれば堂々と患者さんに説明も出来るはずですし、ふるまい方も変わってくると思います。
薬剤師がもしいなかったら…薬で命を落とす人がどれだけ増えることか。薬剤師がいるからこそ治療によって健康になる方もたくさんいるのです。
やりがいという言葉は、安易でそのくせ実体のない言葉です。どんな仕事にもやりがいはありますが、やりがいというものは、見つけにくいものなのです。隣の芝生を眺める前に、まずは皆さんの薬剤師という特殊な仕事に誇りを持ってください。

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